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いい匂い、悪いニオイ


街を歩いている。

すれ違った人から漂ってくる懐かしい香り。

昔お付き合いしていたあの人がつけていた香水のかおり。

記憶が呼びさまされる。

一瞬立ち止まり、自分がどこにいるのかわからなくなる。

確かシャネルの5番だったろうか。

それともディオリッシモだったろうか。

カレーシュかもしれないし、ジャドールかも。

もしかしたら香水ではなくて柔軟剤の香りだったのかも。

 

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今日は香水のおはなし。

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上の文章を書いていているだけで色んな記憶がよみがえってくる。

そのほとんどは切ない想い出。

あの人のかおりを嗅ぐことはもうないのだろうが、風に漂ってくると切なくなる。

同じ想いをあの人にもさせているのだろうか。

同じ記憶を、あの人は思い出しているだろうか。

 

いわゆる有名な香水と呼ばれるものは、処方箋からつくられます。

処方箋、なんていうと薬みたいですよね。

そうなんです、香水はもともと薬局で売られていた、薬なのです。

 

その処方箋やレシピと言われるものはそのほとんどが門外不出で、安価で同じように作れるとはいえ深みのような独特の香りを出すには至りません。

また、香水と呼ばれるものは厳密にはオードパルファムでありコロンのように2~3時間で香りは消えず、少量を身体に盛っただけで芬々たる香りに変わります。

ですので日本人のように体臭があまりきつくない民族は香水をつける必要性はあまりないと言えます。

バッグや胸ポケットに忍ばせたハンカチに一滴。それでじゅうぶんです。

 

香水には、天然香料や合成香料がやく50~70種類ほど含まれています。

トップノート・ミドルノート(ハートノートとも)・ベースノートの3構造から成り、揮発する時間が違います。

トップノートでは柑橘系の香り、ミドルノートではウッディや花の香り、ベースノートでは脂のような香り。

 

ムスクという香料があります。

天然香料はジャコウ鹿から採られますが、一頭からごくごく少量で、しかも殺さなくてはいけないので現在はほとんど天然香料は用いられていません。

超高級メゾンが独自に飼育している場合はあるようです。

市場で手に入れようとすると量によっては都心に家が一軒建つほどです。

ですのでムスクの代わりにムスクケトンという合成香料が使われています。

またムスクの香りはせっけんの香りなので、せっけんのにおいがするものにはほとんどムスクケトンが入っています。

 

ベースノートをつくる動物性香料は4種類。

ムスク・シベット・カストリウム・アンバーグリスです。

さぞ素敵なにおいがするのだろうと思いきや、とーーーーーーーーーーーーってもクサイです!!!

クサイのですが、ずっと嗅いでいたいような香りなんです。

それはやはり自分も動物だったんだな、と再認識できる瞬間でもあります。

よく、犬や猫が仲間の肛門のあたりをクンクンしていますよね。

嗅覚は動物の感覚の中で危険を察知する機関なのです。

だから少し出っ張っているのかもしれませんね。

 

 

バラの花は綺麗だけど、必ず棘のあるように、バラの花の香りにはいい匂いだけでなくとってもクサイ臭いが隠されています。

引き立て役と言われればそれまでですが、人も同じです。

尊敬される面もありますが、決して自慢できない欠点もある。

その両面が自分であり人であるのではないでしょうか。

弱い部分を抱えていても、強い部分だってきっとある。

 

カウンセリングルーム  アトリエ・IMA(イマ)

Shigechika Suzuki