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『的』という表現


主観的・客観的・間主観的。

カウンセリングの学びを始めた頃に学んだ言葉です。

それ以降、よくこの『的』という言葉がテキストに登場するようになりました。

 

主観的な説明は後に書くとして、まずは辞書を引いてみました。

1.まと。標的。

2.明らか。的確。

3.(助詞)の。保有や傾向を表す。英語「tic」やラテン語の「de」の音訳。画期的、我的。

これでもう何となくわかったような気がしますが更に。

 

接尾辞

1.(てき)名詞に付けて「~のような」「~の性質の」「~についての」「~に関する」

等の意を表す形容動詞を造る。

明清期の用法の影響と想像されるが、英語の接尾辞"-tic"の音写との説もある。

例)日本は伝統に地理に近い東アジア各国採る良い関係を保ってきた。

 

さて、一般的に考えられてきた『的』とはどうも違うような様相を呈してきました。

もちろん接尾辞についての説明はよくわかりました。

まさしくその通りに理解して使っていましたし。

ですが、後段の英語の接尾辞の音写というのは初めて知りました。

英語のティックが『的』、ですって!?

しかも英語の語源になっているラテン語まで登場してきました。

 

余談ですが、心理学用語にラテン語が登場することはかなりあります。

哲学や宗教、医学とも通じるラテン語が心理学の世界に登場する意味とは。

その意味を紐解いていくとさらに深く面白いところにハマっていきます。

 

さて、ここまでで一般的な『的』の意味はお分かりになっていただけただろうと思います。

では、テキスト等で学んだ『的』について。

 

まず、クライエントとカウンセラーはカウンセリングというごくごく個人的な相互作用によってカウンセラーはクライエントを理解していきます。

家族構成や生育歴、今まで気づいていなかった心の中身を掘り下げていきます。

また、トラウマ的体験などで蓋をしていた記憶を思い出すこともしばしばあります。

 

あ、そういえば昔こんなことがありました。

今の状況に関係ありますか?

 

そんな話が出てくることもしばしば。

カウンセリングという場では、クライエントの個人的なことが話されるわけです。

ですのでカウンセラーには守秘義務と危機介入をカウンセリングの初めに説明する義務があり、カウンセラーとしての職業倫理を遵守する必要があります。

もちろん個人情報などについては、むやみに外へ出すことは固く禁じられています。

 

また、カウンセラーはクライエントと同じような体験や経験をしていたとしても、それを自ら語ることはありません。

クライエントから求められた際はその限りではありませんが。

語ることはありませんが、心の中では同じように共感していて、どんなに耳をふさぎたくなるような内容だとしても受容し、カウンセラー自身は自己一致しています。

アドバイスやコーチングとカウンセリングが違うのは端的に表現するとこのようなことかもしれません。

ただカウンセラーの得意とする療法によっては、心理教育を施すこともあります。

一概にアドバイスを全くしないというわけではありませんが、それがなされるのはクライエントとカウンセラーの間に信頼関係が築かれたあとのことです。

 

さて、『的』ってなんなのか。

それは、クライエントとカウンセラーが治療される者とする者に分かれるのだと理解するところから始まります。

カウンセリングの失敗例としてよく聞かれるのが、カウンセラーばかり話してクライエントが

呆れ返ってしまった。というものがあります。

もちろんカウンセラーも感情のある人間ですから、クライエントの辛い体験を聴いてその感情が揺れ動くこともあるでしょう。

ですがそこで自分の体験や克服した経緯を意気揚々と話すことはご法度です。

お金を払ってカウンセリングに来ているクライエントをほったらかしにしてしまう。

 

クライエントの体験はクライエントだけの体験。

同じような経験をしていたとしても、カウンセラーの体験ではない。

そして感情を揺さぶられたとしても、同化させてはいけない。

 

同化させないで理解する。

これが私の学んだ『的』です。

 

カウンセリングをしている、と友人に話すとよくこう言われます。

「そんな辛い体験とか聞いて、”もらっちゃう”んじゃない?」

同化させたとしたら、もらってしまうのかもしれません。

だからこの友人にはこう返しました。

「もらっちゃわないよ、自分のことじゃないから」

 

-治そうとするな、わかろうとせよ-